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全国大会準決勝 VS 名古屋クラブ戦 観戦記

2014/02/27


後半45分
 
雪の残る熊谷ラグビー場。
ボールはキックティーにセットされた。
 
点差は3点。
 
熊谷名物の赤城おろしも穏やかで、ほぼ無風の状態。
静寂が会場を包む。名古屋クラブもタマリバクラブもその場にいた全てのラグビー関係者が息を呑んでその瞬間を見守った。
 
タマリバのキッカーFB⑮畑 が蹴ったボールの軌道はまっすぐゴールポストに向かう。
スタンドから歓声と悲鳴が同時に沸きあがる。
「入った!!」
タマリバ関係者は叫んだ。




 
名古屋クラブ⑨後藤がキャッチしたボールは丁寧にグラウンディングされた。
ノーサイドの笛が鳴る。




非情にも、⑮畑の右足から放たれたボールはゴールポストの左をかすめて外れた。

 
神奈川タマリバクラブ 35-38 名古屋クラブ
 
タマリバの日本一奪還のシーズンはあっけなく終わりを告げた。
 
 



 
3点のビハインドで迎えた後半ロスタイム。
トライ数で上回っており、同点でも決勝進出への切符が手に入る状況の中、
主将の西田は、FB畑の右足にタマリバの命運を託した。
「絶対に入るから、落ち着いて蹴ってきてくれ。」と。



客観的に見ても、10回対戦すれば、8、9回はタマリバが勝利するだろう。
それだけの差はあった。
しかし、その1、2回に賭けてきた名古屋クラブの執念は素晴らしいものだった。
どれだけゲインされても、必ず15人全員が全力で戻り、
最後の最後までディフェンスラインが乱れることはなかった。




それでもタマリバに勝機がなかったわけではない。
事実、トライ数では5-4と上回っていて、今季武器にしていたモールも機能して
後半2トライを先制され、最大17点差をつけられたが、怒涛の反撃を見せた。
しかし、名古屋の気迫を超えることはできなかった。





ある人は「タマリバの負けパターン」と評したが、確かにタマリバの悪い癖だ。
自らの戦い方を失い、規律を失い、自滅に近い敗戦を要所で繰り返している。
今期の初戦、2年前の決勝、4年前の準決勝も大事なところでこの過ちを犯していた。





しかし、今季、初戦に敗れ背水の陣を敷いたチームのそれからの復調ぶりは見事で、
北海道バーバリアンズに対して2回の快勝を含めた快進撃を見せ、
クラブ日本一の座はここ数年にないくらい、確実に手の届くところにあった。
ところが、逆にその事実こそがタマリバの心にわずかなのいとまを与えた原因であった。
負けたら終わりのトーナメントの戦い方を知らなかったわけではない。
その戦い方を誤った時の苦い経験もしている。それなのに・・・。




これまで、常にトップクラブとして築き上げてきたものが、脆くも崩れ落ちたのかもしれない。
タマリバの奥底に潜む脆弱さが垣間見えた瞬間だった。
これで、3年間クラブチャンピオンの座から遠ざかることになった。
クラブ史上初めてのゆゆしき事態である。ここからの立て直しは容易ではないだろう。
でもやらなければならない。タマリバがタマリバであるために。

ノーサイドの笛が鳴った瞬間に、来シーズンに向けての戦いは始まっている。



あとがき
今シーズンも稚拙な文章にお付き合いいただき誠にありがとうございました。
今後もタマリバをより身近に感じていただけるように、
タマリバの生の姿をお伝えできばと考えております。
今後ともご指導、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。






 

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