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全国クラブラグビー大会準決勝 <駒場WMM戦 観戦記>

2010/01/12

 熊谷特有の寒風が吹きすさぶも最高の好天。
多くのクラブラガーマン・互いのサポーターが見守る中、注目の一戦が行われた。

昨シーズン準優勝と躍進しながらも今期トップクラブリーグは4位と不本意な
結果。
それでも1回戦を完勝し、2年連続のファイナリストを目指す駒場WMM。
そして全日本クラブ選手権6連覇・日本選手権にクラブ枠が出来てからはその座を独占。
今期はリーグ連勝記録がストップするも、決勝ではリベンジを果たし、その勢いで今シーズンもクラブの頂点を極めんとするタマリバクラブ。

先手を打ったのはタマリバ。
駒場のキックオフをキャッチしたタマリバはモールからHO石川が豪快な突破。
リーグで4戦連続マンオブザマッチに選ばれた能力の高さを見せつける。
また、この試合から戦線に復帰したタマリバのファンタジスタSO竹山が変幻自在のパスワークでラインをダイナミックに動かす。
駒場も正確で早いタックルで対抗、タマリバのミスもあり一進一退。

試合が動いたのは前半12分。
駒場は10mライン右のラインアウトからボールをハイパント。
タマリバのキャッチミスに早い集散からラックを形成し左のラインへ
パスアウト。
駒場のSO宮崎は上がりぎみのタマリバDFラインを見て、裏に落とすキックパス。
ボールは駒場のWTB黒川の胸に収まり、そのままゴールラインを駆け抜けて先制のトライ。(0-5)

前半の半ば頃から駒場のエンジンが温まってきたか、ボールの支配率が上がり
連続攻撃。
ラックを連取しタマリバ22mラインを突破する局面が増える。
一方のタマリバはノックオンなどのミス、ノットリリースザボールなどのペナルティが目立ち、防戦を余儀なくされる展開。
前半19分にはタマリバが22mライン中央でペナルティ。
駒場はショットを選択したがボールがそれ得点はならず。

その後は互いに譲らず、ペナルティからの速攻、DFラインの裏を狙ったハイパントの応酬となるがどちらも相手を崩しきるには至らない。
タマリバは持ち込んだラックをターンオーバーされる、駒場は2次3次攻撃の
方向を誤る局面が多かった。

それでも前半32分。
駒場のオフサイドから得たゴール前右のラインから形成したモールをプッシュ。
PR小川が強引にゴールラインを陥れトライを奪う。(7-5)

タマリバはさらにSO竹山ーWTB吉川ーFL桑江とつなぎ、ゴールライン直前まで
迫るが、駒場の粘り強いカバーディフェンスに阻まれる。

前半終了。

後半は最初からいきなり試合が動く。
0分駒場中央スクラムから左へSH稲葉ーSO宮崎。
SO宮崎が強烈なゴロパント。
タマリバがその処理をミスしたところに、猛然と駒場がラッシュ。
ボールを奪いそのまま駆け抜けトライ。(7-12)

さらに5分駒場中央モールからWTB黒川が突破。
タマリバDFラインは完全に裏をつかれ独走を許しトライ。(7-19)

8分にはタマリバ陣10mライン中央を越えたあたりのペナルティを得た駒場は
ショットを選択し成功。(7-22)

駒場は一気の加点に成功。
後半の風上をうまく利用しキックを絡めた攻撃が冴える。
タマリバはキック処理にバックスリーが苦戦、そこにつけいられてしまう形。

後半も中盤を迎えたあたりからタマリバの時間帯が訪れる。
SO竹山の相手の虚をつくパスワークが冴え、それにLO北瀬、NO,8井戸、FL桑江が
呼応、鋭い突破を繰り返す。
後半から投入されたSH鈴木の早いテンポがそれに勢いを与える。
CTB羽田、WTB高木・吉川もビックゲインを連発する。

後半15分タマリバ中央ラックからSH鈴木ーWTB高木ーNO,8井戸と繋ぎゴール
ラインに迫る。
井戸はゴールライン直前でタックルに掴まるが、そこに絶妙な寄りを見せたのは
FL小山、トライを奪う。(14-22)

さらにタマリバは19分中央モールからSH鈴木ーFL小山ーCTB飛野と繋ぎラック。
左に展開し、SO竹山ーCTB羽田。
相手DFを振り切りゴール左隅にトライ。(19-22)

その後は再び一進一退。
お互いに攻めるも、タマリバはブレイクダウンで後手を踏み、攻め込んだボールが確保できない。
駒場も速攻を仕掛けるも最後のラインの突破を阻まれる。

35分過ぎからは3点ビハインドのタマリバが猛ラッシュ。
SO竹山を中心にPR岩下、LO寺元、CTB飛野、FB若野らがガンガン仕掛ける。
逆転のトライを挙げるのは時間の問題だと思われた。

しかし無情にもノーサイドの笛。
崩れ落ちるタマリバと歓喜の駒場。
クラブラグビーの歴史が塗り変わった瞬間だった。

全体的にはブレインダウンの強さとプレーの精度が明暗を分けたと思われる。
今日の駒場は正確で強いタックルと集散の早さ、全員の献身的なプレーは全ての
クラブチームのお手本になろう。

そしてタマリバクラブ。
常にクラブラグビーのトップを走り、全クラブチームの目標とされてきた。
明日からはタマリバもチャレンジャーに戻る。
今回の敗戦という試練を糧に、来シーズンは生まれ変わった“ニュー”タマリバが秩父宮・日本選手権に帰ってくる事を期待したい。

第二試合では、悲願のクラブチャンピオン返り咲きに燃える六甲ファイティングブルが北海道バーバリアンズを圧倒。
駒場WMMとの決勝に勝ち上がった。
全国のクラブラガーマンを代表する熱い試合を見せて欲しい。
(今永 陽一郎)

 

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