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Ready for Tough Choice! 2013/6

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【Ready for Tough Choice!】マルチステージシャトルラン

投稿日時:2013/06/30(日) 23:31

こんにちは、Ready fot Tough Choice!です。

春シーズンの連戦を終え、春の集大成である八幡平遠征が近づいてきました。
一度連戦の疲れを癒し、遠征に焦点を当てコンディションを高めていきましょう。
 

さて、6月29日(土)、
今シーズン2回目となるフィジカル測定を行いました。
フィジカル測定の内容は、ウエイト測定とフィットネス測定。
 
 
今回は、フィットネス測定として行った「マルチステージシャトルランテスト」
の、測定の様子とその意義をテーマとしたいと思います。

 
タマリバは、フィットネス測定として今シーズンからマルチステージシャトルランテストを導入しました。

ラグビー界やサッカー界では多く用いられているテストですので、データも豊富です。
より客観的なフィードバックをお返ししますので、選手の皆さんおたのしみに!
 
 
 
この日は、保土ヶ谷ラグビー場での練習の冒頭にテストを行いました。
 
石田トレーナー、初のフィットネステスト運営です!
トレーナー2年目のあいくん、ぐんぐん成長しています。
 
 
 




トップは、FL小橋川選手でした。
怪我から復帰し、コンディションも上がってきているようですね!
(小橋川選手の、ブログ出現率が高いような…)
 

 
 
 4月に比べ、全体的に数値は良くなっていました。
なかでも伸びたのは、げんた選手と楠山選手!二人とも、4月より+15でした。

みなさんお疲れ様でした!
 個人フィードバックは、後日お配りします。
 


さて、ここからは、マルチステージシャトルランテストの意義について考えていきます。
具体的にどんな能力をみているのでしょうか?
 

マルチステージシャトルランテストは、有酸素性能力をみるテストです。
テストのスコアから、有酸素性能力の指標である最大酸素摂取量を具体的に推定することができます。
 
最大酸素摂取量(VO2max)とは、
「有酸素性持久力のエネルギー出力における、酸素の利用能の大きさの上限」を
単位時間(min)あたりに取り入れ可能な酸素の最大値(ml)で表します。

酸素運搬能力と、酸素利用能力(筋における毛細血管の発達と酸化能力の高さ)
が関係し、身体のコンディショニング能力と相関が高いことがわかっています。
 

最大酸素摂取量は、
一般人は約40 ml/kg/min 、一流長距離選手は約80 ml/kg/min
程度であることが示されています。
 
ラグビー選手の最大酸素摂取量の値は、
50~55ml/kg/minであり、
これは陸上の中距離ランナーや重量挙げの選手に近い値です。
 
マルチステージシャトルランのスコアでいうと、
11lebel(シャトル数95‐106)~12lebel(シャトル数107‐118)に相当します。
(詳しい値を知りたい選手はトレーナーまで)
 

ラグビーは40分ハーフの80分間ですが、中断が多く、
5~15秒の激しい無酸素性の運動(スプリントやタックル)を
約40秒間の休憩またはジョグを挟んで繰り返す、というスポーツです。
そのため、どちらかというと無酸素性の能力が高く求められます。
 
しかし無酸素性能力の高さだけでは、
ゲームで最後までベストパフォーマンスを発揮することはできません。
 


ラグビーの運動様式について 
以下のようなことが研究で明らかになっています。
 
・バックスの選手は約38%がトップスピードでのスプリントや、タックルなどのコンタクトプレーを含む高強度の運動であり、
 62%がウォーキングやジョギングなどの低強度の運動である(Austinら、2011)。
・フォワードの選手は、スクラム・モール・ラックなど激しいコンタクトプレーによる高強度運動が多くあるが、
 総走行距離の92%をジョギングや歩きで行う。
 

このことからも、無酸素性能力が高く求められることがわかりますが、
繰り返される高強度運動の合間の低強度運動は、
有酸素性能力によりまかなわれています。

すなわち、ゲームの中でめまぐるしく運動様式が変わるラグビーのようなスポーツでは、
有酸素性能力は、スプリントやタックルなどの高強度運動の合間の、
回復能力の高さと関係があります。

80分間継続して最後まで走り続けるためには、有酸素性能力がベースとしてしっかり身についていなければなりません。
 
 
マルチステージシャトルランテストは、
試合におけるフィットネスレベルの高さではなく、
選手のベースにある有酸素性能力を評価するテスト、と考えることができます。
 
自身のコンディションチェックや、有酸素性能力レベルの把握、
平日のフィットネスメニューを組む際の参考となるでしょう。
 

筆者は、有酸素性能力とは
シーズン終盤、最後の20分間にすべてを出し切って戦うための力であると信じています!(熱)


少し長くなってしまいましたのでここらで。
ちなみに第3回フィジカル測定は、8月に行います。 
 
早いもので、明日から7月!!
八幡平遠征まで2週間です!!
この2週間、各自平日にできることをやって、週末、集まってラグビーを楽しみましょう。
 
以上、Ready for Tough Choice!でした。
 
 

〈参考文献〉
球技種目におけるフィールドテストによる運動能力評価の開発に関する研究(2011)
スポーツ生理学(青木純一郎ら編著、市村出版、2006)

【Ready for Tough Choice!】ディトレーニング

投稿日時:2013/06/17(月) 00:53

みなさん、こんにちは。
 
タマリバンは、春シーズンの4連戦真っ最中!
この時期に、毎週試合。コンディショニングが難しいところですね。
 
今回は、コンディショニングのヒントとなる、
「ディトレーニング(Detraining)」をテーマにします。



ディトレーニングとは何でしょうか?
trainingに打ち消しのdeがついてることからも分かるように、
(英語の授業ではありません)
トレーニングを辞めることです。
 
かたい定義としては、
「ケガなどの身体的理由や、仕事の都合や試験などの社会的理由などによりトレーニングをある期間中止すること。」
 
 
当然ですが、トレーニングを中断すると、身体機能は低下します。
せっかくトレーニングして高めたパフォーマンスを落とさないためには、
トレーニングを長期間継続して行うことが重要です。(トレーニングの、継続性の原則)
 
ディトレーニングについて明らかになっていることは、主に以下のようなことです。
 
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①ディトレーニングによる筋力低下は、
 ディトレーニング期間や個人差が大きく影響するが、
 ディトレーニング2週間で筋力低下が起こることもある。
 約4週間で神経要因による、それ以降は筋の減少による顕著な筋力低下が起こる。
 
 日頃継続的にトレーニングをしている選手は、
 ディトレーニングによる筋力の低下速度は一般人よりも速い可能性がある。
 
②最もディトレーニングの影響を受けやすいのは、有酸素性持久力。
 ディトレーニング1~2週間で、最大酸素摂取量の低下が始まる。
 
③スピードや柔軟性は、数週間のディトレーニングではさほど低下しない。
 (けれど、ストレッチは毎日行ってください!!!)
 
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ディトレーニングと関連してもうひとつ面白いことがあるので簡単に紹介します。
 


ディトレーニングによって、様々な身体機能が低下する、と述べましたが、

ある程度長い期間トレーニングを積み重ねてきた選手は、
トレーニング再開時に、筋力が再度向上する速度も速いのです。

2年かけて筋力を向上させてきた選手が、怪我で1年離脱し、また怪我をする前の筋力に戻すのに2年かかるということは決してなく、たいてい数カ月で戻るそうです。
 
このことは、マッスルメモリー(筋肉の記憶)なるものの存在を示しています。
一度自転車の乗り方を覚えてしまえば、どんなに乗っていなくても忘れることはないことと同じイメージです。

今、トレーニングを継続的に行うことは、目先の目標のためだけではなく、
全国大会決勝、しいては、次のシーズン、そのまた次のシーズンにもつながっていくのです!
 

ますます、日々のトレーニングの継続がいかに大切であるかがわかりますね。 
 
どうしてもトレーニングの時間が取れないときでも、
軽い強度のジョギングなどで、有酸素性持久力を維持したり、
自重トレーニングを行って筋力を維持したり、
ディトレーニングを防ぐ手立てはいろいろあります。
そんなときは、トレーナーに相談してください。
 
 
まとめますと…
 
その選手に本当に合うトレーニングスケジュール(週に何日トレーニングして、何日休めばいいのか)は簡単には分かりません。
が、継続するということは非常に根本的で大切なことです。

今回お伝えしたディトレーニングなど基本的な理論を知った上で、
いろいろ試して、自分にぴったりの方法を探していくことがコンディショニングだと筆者は思います。
 

秋には、もっと厳しい連戦があります。
そのときに備え、この春の連戦で、自分の身体と向き合い、
コンデショニング方法を確立していきましょう!
 
 
 
今回は写真がなくあじけない記事になってしまったので、
意味もなく6月15日(日)の練習風景の1コマを。
空と選手たち。